mixiで書いたものの転載。
「オイディプスの刃」/成島東一郎監督
赤江瀑の『オイディプスの刃』の映画化作品。
タイトルのオイディプスとは、知らずに父を殺し、母を妻としてしまったという、ギリシャ神話に登場する人物。
この作品におけるオイディプスは、三人の異母兄弟たちです。
そして刃は人を狂わす名刀「次吉」に、「刀」という名の、ラベンダーの香りの香水です。
兄弟たちの母への思いと「次吉」が、赤いハンモックの上に一つの死を生み出し、彼らの両親をも死に至らしめます。そして後に「刀」という新たな刃を作り出してしまいます。
ストーリーは大好きなんだけど、いまいちな映画でした。
原作読んでないと意味がわからないんじゃないかというシーンがいくつかあったし。
この日記の題は原作第一章のタイトルを引用しています。
緑の木々の間に吊られているだろう赤いハンモックが鮮やかに思い描かれて、その上に巣くう死さえも美しく感じてしまいます。
また、血を連想させる赤と、ゆらゆら揺れるハンモックの不安定さが死のイメージと結びついて、いいなあと思います。
文章フェチの私はこのタイトル見てるだけでドキドキします。なのに、映画はなあ…。
やっぱり原作のあの華麗な文体があってこその作品なのでしょうか。
でもラストの辺りは迫力あって良かったかな。
母親と泰邦さんが抱擁するシーンもきれいだった。
所々にはっとするような美しい映像があります。
あと若かりし頃の京本政樹が半裸で口紅塗っているシーンにニヤニヤしました。