萩尾望都さんの『トーマの心臓』を読みました。
寄宿舎や少年といったキーワードから『風と木の詩』を連想し、相当鬱になるだろうと覚悟して読み始めました。
でも希望のあるラストで、落ち込まずに済みました。胸に突き刺さる話ではあったけど。
物語は一人の少年、トーマの自殺から始まります。少年は一篇の詩を残しています。その詩が中盤あたりでもう一回出てくるって演出が秀逸だと思いました。
最初に読んだときには意味がわからなかったのに、その時点で読み返すとわかるんです。詩の意味だけでなく、彼が死を選んだ理由まで一瞬にして理解させるんです。
ああ、構成力ってこういうことなんだ、と思いました。見習わねば。
それにしてもオスカーがかっこよすぎた。登場した瞬間から「こいつは私好みだ」と確信させるなにかがあった。案の定、ていうか予想以上だった。やられた。
行動がことごとくかっこいいんだよね。
見た目が非常に美しく描かれてるってのももちろんある。
すべて知っていながらただ黙って見つめている、そして待っている姿勢が切ない。彼が明るく快活な少年だけにね。
大人すぎるんだよオスカー! 大好きだよオスカー!
妹にも読ませてみました。
読んでる最中のこと↓
妹「オスカーかっこいいな」
私「だよね!」
(一通り盛り上がる)
読み終わった後↓
妹「オスカーかっこいいな…!」
私「(*´∀`*)」
(一通り盛り上がる)
ああ、私たちやっぱり姉妹なんだと実感しました。
私「サイフリートもかっこいいと思うんだ」
妹「ちょっと思った(笑)」
(一通り盛り上がる)
ああ、私たち(ry
いい漫画でした。「愛と許し」っていうテーマがしっかりと描かれています。
どんどん突き進んでいくエーリクと、ひたすら待つオスカーの対比もいい。
キャラクターの役割がはっきりしてるんだよね。トーマが種だとしたら、エーリクは耕し水をやる人、オスカーは太陽だと思う。彼らによってユーリという枯れた畑は芽を出す…みたいな。
もうため息しか出ないわ。
『トーマの心臓』のひな型となった『11月のギムナジウム』ではオスカー、ちょっぴり嫌な奴でした(笑)
いや、かっこいいんだけど、トーマの~のオスカーの方が色気があります(*´ω`)
こっちもおもしろかった。草地のシーンがなんだか倒錯的ですてきでした。